サンタです 記録40 カウント19
60歳で脳梗塞を発症。現在77歳認知症発動中のじじ様。わがまま、ストーカー、暴力、挙動
不審に驚きばかりの日々です。
親としての威厳が失われていくのは哀しいものですが、親も人間だと改めて感じ、見つめな
おすことばかりです。親子という近い立場ゆえ苛立ちが爆発したり、ひどい言葉を発して
と後々で後悔することが多い中、考えや気持ち、今まで生きてきた環境、様々な想いを知る
事が出来るような気がします
認知症は治らない病気、将来80歳以上の大半の人が発症すると言われています。
私の父も認知症の診断を受けています。脳の中で何が起こっているかわかりませんが、 何
かをする、行動する、の前に何か理由、原因が必ずあると思っています。じじ様は人間の本
能の心思うまま行動するのです。
クリスマス
12月24日 日曜日
今日はクリスマス。
以前なら バーベキューでもしながら楽しんでいただろうに じじ様は目が離せない。
小さな子供より悪い。 余計に力は強いし、何を思ってか不機嫌な顔で暴言を吐き散らかし
周りの雰囲気や心を一気に地獄に突き落とす。
それでもクリスマスはケーキでも食べないとね。
雰囲気、雰囲気。
そう思い、人気のケーキ屋さんに並んでサンタのの乗ったケーキを買ってきた。
じじ様の心が少しでも和むよう・・・。
ケーキをお皿に移して テーブルに置くとばば様は大喜び。
なんせ滅多にケーキなんて食べないし、買わないから。
これからはたまに買ってきてあげよう。
一方じじ様は今日はひがみ根性が出ているらしい。
ばば様が笑ったり、喜んだりするのが気に入らないらしい。
つまらなさそうに横目でみて
「なんだこいつは」
とケーキの上に乗ったサンタにケンカを吹っ掛ける。
あ~あ、これは認知症の症状なのか、もとからの性格の悪さなのか。
素直に喜んで食べたらいいのに。
そしてじじ様専用の色鉛筆を持ってくると
・・・・サンタをケーキごとぶっ刺した。
・・・もうじじ様にはプレゼント届かないね、それどころかサンタに恨まれるかもね。
こんなに美味しいケーキを作ってくれた人に 有難いの心もないのかじじ様は!
そして手でわしづかみすると、サンタはじじ様の手の中でぐちゃぐちゃにこね回された。
「食べてごらん、美味しいよ」
ばば様が口を開けて食べる仕草をする。
誘導されるようにじじ様はサンタごとぐちゃぐちゃのケーキを口に入れた。
美味しかったのだろう、座って無言で食べる。
汚れた手をタオルで拭いてあげながら
「美味しいでしょう?」
たずねるばば様。
「いや・・・まずい!」
この、ひねくれものめ!!
ぺろりケーキを食い尽くしたじじ様。
何事もなかったように 鉛筆でテーブルをたたいていた。
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