ねことのひととき

ねこに癒される日々

車椅子に乗って・・・  記録 59 カウント0

60歳で脳梗塞を発症。現在77歳認知症発動中のじじ様。わがまま、ストーカー、暴力、挙動


不審に驚きばかりの日々です。
   
親としての威厳が失われていくのは哀しいものですが、親も人間だと改めて感じ、見つめな
  
おすことばかりです。親子という近い立場ゆえ苛立ちが爆発したり、ひどい言葉を発し


と後々で後悔することが多い中、考えや気持ち、今まで生きてきた環境、様々な想いを知る


事が出来るような気がします



認知症は治らない病気、将来80歳以上の大半の人が発症すると言われています。


私の父も認知症の診断を受けています。脳の中で何が起こっているかわかりませんが、 何


かをする、行動する、の前に何か理由、原因が必ずあると思っています。じじ様は人間の本


能の心思うまま行動するのです。


じじ様保護入院


1月12日 金 曜日


本日 14時 じじ様入院予定


さて、朝から気づかれないように普段通りに過ごす。


じじ様がばば様と会話をしている間 裏のドアから荷物を運び出し、車に積み込む。


じじ様は脇腹がまだ少し痛いらしい。


痛い・・・


と言うと ばば様も優しく接してくれるので 半ばわざと痛がっているようにも見える。


最近はあまり長く睡眠をとらず 家の中徘徊を続けていたのに、今日はお昼前から


畳の上にゴロンと寝転がり うたた寝に入ろうとしていた。


病院まで車で30分かかる、1時半にはじじ様を家から出さないと。。。


ばば様がじじ様を起こそうとするが だらり~とまた横になる


ばば様がいつもの諦めモードに入りつつある。


・・・行けないね・・・


ばば様が小さく言う。


有言実行!! また先の見えない毎日は嫌だ!!!!!


「じじ様、脇腹が痛いね。病院予約したから診察してもらおう。」


じじ様を引っ張る。


心配されたのが嬉しかったのか(・・罪悪感) じじ様の体に少し力が入る。


よしっ。


ばば様も参加して 脇腹が痛くて辛そうな顔のじじ様を立たせる。


そして なんとか車に乗せた。それまでの時間、1時間、、、、、。


ばば様が玄関の鍵をかけに行くと


「よし、今だ! 出発!!あいつ(ばば様)を置いていくぞ!!」


と突然元気はつらつ 片腕をあげて 元気いっぱいのじじ様。


もう、お腹抱えて、涙が出るほど 笑った。


久しぶりに心の底から 大声で笑ってしまった。


車に戻ってきたばば様は 大笑いする私を見てきょとん。


「どうしたの?」と聞く。


じじ様 無言で窓から外を眺めて知らん顔。


え~、絶対にわかってるよね、じじ様。 ほんとに認知症なのかしら、、、、。


車が走り出すと じじ様興味津々で外を眺めて、


「あー、ここは確か 〇〇 だった」


と記憶を手繰り寄せていた。


楽しそうだ。


・・・・・もっと ドライブに連れて行ってあげればよかった、、、


少しの時間でも どこかに連れていってあげればよかった・・・・



後悔ばかりで 悲しくなる。



自分の心がどんなに余裕がなかったのかを改めて分かった。




もう 今度はないかもしれないけど。。。。


あるとすれば もっとおおらかに心の余裕を持てるようにしておこう。


そして 少しの間でも違う景色を見せれるように準備しておいてあげよう。




病院に着く。


じじ様は家のよたよたとは全く違う歩き方で スタスタと歩いて行く。


私もばば様も 目が点になる。


ほんと 外面はいいんだから。


待ち時間が10分、15分と長引き、小心者のじじ様は落ち着きがなくなり


不安で帰りたいビームをばば様に飛ばし始めた。


足が痛い、脇腹が痛いとも言いだした。


ったく、子供じゃないんだから。


そんなじじ様をばば様があやしながら甘やかす。


その間、私は担当医と密談。


「今日はどうやってじじ様を連れてこられましたか?」


「ちょうどお風呂で躓いて脇腹を痛めてしまって、痛がるから念のための診察


 をしてもらうってじじ様には言ってあります」


「わかりました。始めにいろんな検査がありますので、ちょうど良かったです。


 話を合わせて行きましょう」


看護婦さんや看護師、先生 5人ばかりがじじ様に優しく話しかけていきます。


じじ様は臆病で人見知りなので ばば様の方を向いたまま無視して、不機嫌状態。


一人の元気な看護婦さんが 


「じじ様、レントゲンとりますね、車いすに座ってくださいね」


大きな声たくましい腕力でじじ様を車いすへと強制誘導。


すると男の看護師さんが無言、サーッとじじ様を車いすで連れ去って行った。


呆然、


圧巻。


じじ様は振り向く隙もないまま。


そしてあっけなくじじ様は入院となった。


残された私たちは今後の手続きの為 、病院棟、リハビリ棟、食堂等の説明を受けた。


説明や書類へのサインなど、3時間半ほどかかり ばば様はくたくた状態だ。


今日は家に帰ってもじじ様はいない・・・


まだ現実感がないけれど、


まだすぐに帰ってくるような感覚がある。


ばば様は担当医に訴える。


”じじ様は人より力はあるし、わがままで暴れるんですよ。


だから 病院の方にご迷惑をお掛けするのでは・・・”


担当医の先生はピシり。


「 私たちはこの病状のプロですから。



 そんなことは 当たり前のことです」


と言ってくれたおかげで ばば様は本当に安心した。


病室に移動したじじ様を 帰りに一目会って行こうと ばば様に言ったが


今会ったらじじ様が ”帰る”と言い出すかもしれない。と顔も見ずに家に帰った。


心身とも疲れ果てたばば様は 家に帰るとただぼ~としていた。


じじ様を入院させてしまった罪悪感


じじ様がいないことでの安らぎと寂しさ。


人の心がこんなに複雑でなければ 脳も単純でいてくれたのかもしれない。


人は余計な物が入りすぎて 複雑すぎる。