ねことのひととき

ねこに癒される日々

枕をかかえ、頭には・・・  記録 38 カウント21

60歳で脳梗塞を発症。現在77歳認知症発動中のじじ様。わがまま、ストーカー、暴力、挙動
不審に驚きばかりの日々です。
   
親としての威厳が失われていくのは哀しいものですが、親も人間だと改めて感じ、見つめな
  
おすことばかりです。親子という近い立場ゆえ苛立ちが爆発したり、ひどい言葉を発して


と後々で後悔することが多い中、考えや気持ち、今まで生きてきた環境、様々な想いを知る


事が出来るような気がします


認知症は治らない病気、将来80歳以上の大半の人が発症すると言われています。


私の父も認知症の診断を受けています。脳の中で何が起こっているかわかりませんが、 何


かをする、行動する、の前に何か理由、原因が必ずあると思っています。じじ様は人間の本


能の心思うまま行動するのです。


枕を抱えて・・・


12月22日 金曜日


朝から ばば様の悲鳴のような笑い声が聞こえる。


「ももめー、みて!みて!」


と涙をうかべ お腹を抱えて笑っているばば様。


ふすまに隠れてこちらの様子を伺うじじ様発見。


「何事」


じじ様に近づくと 私の時間が止まった。。。。


そこには 上半身裸で紙パンツを頭にかぶり、寒いのかピンクの枕


両手で抱きかかえているじじ様が立っていた。


上機嫌だ。


すぐに 携帯電話を持ってきて 撮影。


ん~良い写真がとれた。


遺影にしよう!


ばば様の大きな笑い声が止まらない。


ばば様の方がじじ様より先に笑い死にするかもしれない・・・・。


調子に乗ったじじ様は にこにこ顔でばば様からスパイの如く隠れて


一人かくれんぼを始める。


柱の陰から私に向かって 


「しーっ!」


と口に人差し指をあてている。


ばば様が らしい。


じじ様は隠れているので 私も知らんぷり。


ばば様は笑い疲れ、一息テレビを見ながらお茶タイム。


すると 玄関で激しい物音が。


がちゃん、ガチャン!!


玄関に飾ってある花瓶や写真、傘、全てを放り投げている。


ばば様が見つけてくれないので怒ったのか、はたまた何もかも忘れていつもの


暴れん坊になったのか。


慌てて玄関に行くと 頭におむつ、片手にピンクの枕を抱えたままのじじ様が


鬼退治の鬼のような目つきに豹変していた・・・


ご機嫌から10分もたっていない。


ばば様の笑い顔も一瞬で暗いどん底の絶望に変わった。。。


「薬を飲ませないと・・・」


ばば様は薬だけが頼りと言わんばかりに 残り5錠しかない安定剤を握りしめて持って


くる。


病院で処方してもらった10錠の安定剤、残り5錠ですでに免疫が出来たみたいで


あまり効かないらしい。


少しは落ち着くが 一人の世界に浸り、今度は寝なくなるようだ。


「ついでに睡眠薬を3錠くらい飲ませて 眠らせたらどう?」


と冗談で言ってみた。


「大丈夫かな?処方箋は1日1錠って書いてあるけど・・・」


ばば様が目を細めて 処方箋をみて確かめる。


「・・・飲ませてみようか」


ばば様の目の奥が光ったような気がした。


「いや、永遠に目が覚めなくなるか、  もしくは地獄から這い上がって


パワーアップしてくるかもよ」


一応 止めた。


「・・・そうね」


と心に芽生えたじじ様 ”消えて” の願いをあきらめて じじ様を落ち着かせる為に


玄関へ。


どんなに大変でも 頭にきても 良いときの事を思い出してしまい


じじ様を ”消す事” は出来ないばば様の良心がまだいる


少し希望を与えなくては。


「お正月明け、遅くても1月半ばに入院が決まればいいね、


もし それ以上待たないといけないなら 他の病院も探すよ」


先はまだ何も決まってはいないけど。


「そうね、1週間、いや、3日間だけでもいいから入院してくれれば


・・・ゆっくり眠りたい。」


 ばば様の切な願い だ。