ねことのひととき

ねこに癒される日々

 姉ちゃんを買う  記録36   カウント23

60歳で脳梗塞を発症。現在77歳認知症発動中のじじ様。わがまま、ストーカー、暴力、挙動
不審に驚きばかりの日々です。
   
親としての威厳が失われていくのは哀しいものですが、親も人間だと改めて感じ、見つめな
  
おすことばかりです。親子という近い立場ゆえ苛立ちが爆発したり、ひどい言葉を発して


と後々で後悔することが多い中、考えや気持ち、今まで生きてきた環境、様々な想いを知る


事が出来るような気がします


認知症は治らない病気、将来80歳以上の大半の人が発症すると言われています。


私の父も認知症の診断を受けています。脳の中で何が起こっているかわかりませんが、 何


かをする、行動する、の前に何か理由、原因が必ずあると思っています。じじ様は人間の本


能の心思うまま行動するのです。


おめしさん


12月20日 水曜日


今日はデイサービスに連れて行く!


この決心のもと 


じじ様のご機嫌を保つため、この世の世界にいてもらうため 


朝から準備に取り掛かる。


食欲旺盛なじじ様の為 饅頭や菓子パン、コーヒーと考える暇を与えないほどに


次々と差し出す。


ばば様と私のかいがいしいお世話にじじ様も嬉しそうに笑う。


うれしいなあ。」と


ばば様の策略とも知らずに 。


デイサービスのお迎えが来た。


なんと幸運にも じじ様最大のお気に入りの女性がお迎えにきてくれたのだ。


いつもは1時間も2時間も不機嫌にぐずって とうとうデイサービスには行かないのだが


この女性のお迎えの時は気分よく、あたかもデートに行くかのように照れながら車に


さっさっと乗って行く。それも手を振りながら。


なんだか 面白くないようなばば様の顔が見えたような気がした。


なにがともあれ 今日はデイサービスに行ってくれた。


先ずは ケアマネージャーさんに連絡して、病院に行き、入院もしくは薬の調整を


してもらうことを報告しておいた。


ケアマネージャーさんは病院や施設、デイサービス、保健所や役所に話を分かりやすく


通して下さり、最も良い方向へお手伝いしてくれる、とてもありがたい方だ。


そして昨日病院に電話をして非常事態と言わんばかりの演技で訴えて 無理やりに入れても


らった病院の予約。


担当医にどうやったら 伝わるかが重点だ。


それで 治療や対処法が変わってくる。


認知症の症状がわかっているお医者さんでも 一緒にいないとわからない 肌で感じる


異世界、精神崩壊は 【大変】という言葉では表せないほどなのだ。


なんせ解決方法がないのだから。


とにかく 大変さを訴えた。


今すぐでも 入院手続きをしてほしいと、1週間だけでも構わないからと。


だが もう今年も10日で終わる時期。


手続きが大変なのか、年末年始にかけて救急患者が多いのか、看護が手薄になるのか


”入院は来月でしょう。その代わり救急と病棟には伝えておきますから”


担当医にはっきり言われたら もうしょうがない 、じじ様と一緒に年を越して


新しい年を迎えるしかないのだ・・・


「あの。。いつ頃になるのでしょうか・・・」


せめて 日にちがわかればまだ目標が持てる。


「1月半ばくらいには なんとかなるでしょう」


じゃあ、あと1ヶ月弱・・・・


大丈夫だろうか ばば様は。


興奮時に落ち着く薬と 夜眠れる睡眠薬を出しておきますね。これでかなり改善されると


いいのですが、やはり人によって効果が違いますからね」


いえ、それだけで十分です。本当にありがたいです。


是非とも 使ってみます。


ばば様にとっては 魔法、天にも昇るような有難いお薬になるでしょう。


とりあえず ベットが空き次第 連絡をしてくれるとの事だった。


家に帰り ばば様に話の内容を伝え、薬を渡すと 喜ぶかなっと思いきや


こんな薬があるなら 早くくれればいいのに!


と病院に逆切れ。


さすが おばさん自己中心パワー。


担当医にちゃんと説明しないばば様の方が悪い。


病院の開いてない年末を心配して 薬を考案してくれた先生にちゃんと感謝して下さい。


デイサービスの帰宅時間は4時。


今日は遅い、もう5時になろうとしている。


玄関でバタバタと大きな音がした。


「ももめ~」


ばば様が大声出して呼ぶ。


玄関に行くと 


なんと


じじ様はお気に入りの女性の腕をがっちりと両手で巻き込んで 掴んで 家の中に


引きずり込もうとしていたのだ


必死に引っ張るじじ様になすすべもない女性の顔は 迷惑そうな苦笑い。


引き離そうとしても 離さない、 すごい力なのだ。


「俺が 買う! 買うんだ!!」


買ってどうする? 第一お金も持っていない、暴言、暴力、生活力も気前も


良くない、それに若さもなく よぼよぼの年寄。 お金を払ってでも辞退したい。


ばば様が必死で女性を助ける。


触るな!このブスが!!


じじ様の暴言に ばば様 固まる。


そりゃショックだ。


こんだけ 無条件で尽くしてくれるおひとに この言葉はないだろう・・・


お仕置きです。


冷たく冷やした雪女のような冷たい私の手でじじ様の腕を掴んだ。


じじ様は驚いた顔で私を見る。


そう、私は雪女です。じじ様をお仕置きする為にきたのですよ。


じじ様の手が緩んだ隙に女性はすっとすり抜け さっと玄関の外に移動した。


余所行きの笑顔で


「また 明日迎えに来ますねじじ様」


手を振って走り去った。


姿が見えなくなると 何事もなかったかのように


「めし!!」


ばば様の名前は今度から ”おめしさん”にしよう