ねことのひととき

ねこに癒される日々

 一緒に・・ 記事30

60歳で脳梗塞を発症。現在77歳認知症発動中のじじ様。わがまま、ストーカー、暴力、挙動
不審に驚きばかりの日々です。


親としての威厳が失われていくのは哀しいものですが、親も人間だと改めて感じ、見つめな


おすことばかりです。親子という近い立場ゆえ苛立ちが爆発したり、ひどい言葉を発して


と後々で後悔することが多い中、考えや気持ち、今まで生きてきた環境、様々な想いを知る


事が出来るような気がします


認知症は治らない病気、将来80歳以上の大半の人が発症すると言われています。


私の父も認知症の診断を受けています。脳の中で何が起こっているかわかりませんが、 何


かをする、行動する、の前に何か理由、原因が必ずあると思っています。じじ様は人間の本


能の心思うまま行動するのです。



一緒に・・


今日は 雨。


じじ様は 雨が降るとお友達がくるらしい。


「このくらいのが出てくる」


3cm程の長さを親指と人差し指でつくる。


「こいつが大きくてな。」


腕を組みながら 困り顔のじじ様。


3cmが大きいのなら30cmは ゴジラ並みやね。


「いつも 1時! 1時に立っているんよ」


ほー、時計は読めるんだ。


立つんだね、3cmは。


ちなみに「3時は?」


と聞くと


「1.2.3.4.5・・・」


と数えながら 3時は通り過ぎてしまう。


俺よりも若くて20歳 年が上かな・・・」


う~ん、年齢は不詳ね。


じじ様より20歳上ならこの世の人ではないかも。それでじじ様より若い。。。


なら じじ様も すでにこの世の人ではないかも。


「出てくるかな・・・」


そう言いながら 部屋の隅っこに体を隠すような仕草をするじじ様。


「何やってるの?」


聞く。


こわいな~、だけど行かないといけない」


真顔のじじ様。


「どこに行くの?」


仏壇を指さすじじ様。


「むこうに・・・」


あ~、死んだらね。


「おっ、行ってくれば?!」


怖がるじじ様に冗談ぽく言ってみた。


じじ様 不気味に笑う。


そして ゆっくり


「俺と ばば様と・・」


「そして あなたも  」


一緒に。。。


きゃ~、怖いって!!


なんか 意味深に不気味に笑わないでよ"(-""-)"


夜8時。


ばば様が珍しく大きい声で私の名前を呼んだ。


居間に行ってみる。


「じじ様がいない。徘徊が始まった!」


いや、臆病なじじ様は今まで外を徘徊するような事はしなかった。


せいぜい家の中を無駄に歩きまわるばかりだった。


ちょっと 外に行っただけだろう。


ばば様、帽子をかぶり、マフラーを巻き、軍手、懐中電灯を持ち、重装備で


探索開始モード突入。


「どのくらいから じじ様いないの?」


「え~と、10分くらいたつかな」


ばば様、慌てて 外に飛び出す。


はっ~、まだ10分やん。


もう 面倒だな。


とりあえず、靴下はいて、ジャンバーを着る。


外 、寒そう・・・


コーヒー飲んでから 探そうっと。


あんな よたよたのっそり歩きのじじ様では そんな遠くには行ってないだろう。


台所にコーヒーを沸かしに行くと 異変を察知。


なにか ゴソゴソと聞こえる。


見ると じじ様 発見!


「何してるの?」


声をかけた。


「確か・・この辺だったと思うが・・」


そこは ばば様のお茶菓子の隠し場所


みつかると 全てじじ様に食べられてしまうのだ。


だが、じじ様はすでに知っていた。


じじ様はお菓子を探索中だったのだ。


「外に行った?ばば様 心配してたよ」


「う~ん、外には行ってない。だけど さっき行ってきた」  じじ様。


「どこに行ったの?」


「ちょっと アメリカに行っててな・・」じじ様。


あっ、そう。アメリカね~。


その格好で?その足で?


はいはい。


ばば様 帰宅。


「もう どこにいたの?さがしたんよ」


ばば様 本当に心配だったらしく 顔が真剣だ。


呼吸も荒く、息も上がっている。


しつこく じじ様にくっついて質問責めにあわせる。


日頃は ばば様がトイレに行くときも お風呂に入るときも 出待ちするストーカーの


じじ様だが この時は ばば様の茶菓子を手に持っていた為 取り返されないように


必死で逃げる


挙句の果てにはばば様を


「うるさい」


「しつこい」


といつもの逆パターンだ。


じじ様 玄関に向かうとドアを開け 脱走。


と思いきや、 心配性ばば様が 玄関に鍵とチェーンをかけていた。


じじ様 チェーンがわからず混乱。


今度は玄関でうろうろ。


ばば様は日に日に たくましくなっていく。


とりあえず 家の中の徘徊は危険はないだろう。


家の中に凶器がない限りは・・・。