ねことのひととき

ねこに癒される日々

お好きなように。   記録25

60歳で脳梗塞を発症。現在77歳認知症発動中のじじ様。わがまま、ストーカー、暴力、挙動
不審に驚きばかりの日々です。


親としての威厳が失われていくのは哀しいものですが、親も人間だと改めて感じ、見つめな


おすことばかりです。親子という近い立場ゆえ苛立ちが爆発したり、ひどい言葉を発して


と後々で後悔することが多い中、考えや気持ち、今まで生きてきた環境、様々な想いを知る


事が出来るような気がします


認知症は治らない病気、将来80歳以上の大半の人が発症すると言われています。


私の父も認知症の診断を受けています。脳の中で何が起こっているかわかりませんが、 何


かをする、行動する、の前に何か理由、原因が必ずあると思っています。じじ様は人間の本


能の心思うまま行動するのです。


職人じじ様




急に冷え込み、朝の早起きはつらい・・・


先週に引き続き、職人魂に燃え上がっていたじじ様は寒さは感じられないのだろう、


朝の3時には準備万端。


外からじじ様の掛け声(独り言)、及び道具を動かす物音は聞こえていたものの


せっかくの休日、せめて7時くらいまでは布団の中にいさせてくれ。


休みの日に生コンクリートにレンガをはめ込む約束をした手前、起きないわけには


いかない。猫さんたちのご飯アピールもすでに始まっていた。・・・それに約束だし


じじ様アピールは1日中続くだろう。それならさっさと片付けてしまおう。


あ・・・こんなことなら約束なんてしなければ良かった。


これは全て 私が悪い。悪いけど、のんびりしたい・・・・


いや、きっとやりだすと楽しいはず!!


分厚いズボンと毛糸の帽子をかぶって いざ現場へ!


。。。。なぜ。


そこには レンガを円形に並べた上に セメントの粉がばらまかれていた。


20kgx3袋 分。


それになぜか ポツリぽつりと小粒の雨まで・・・。


イラッ。 全開


下を向き 深呼吸。


今日という日は 全て私が仕組んだこと。それなのに のんびりしたい、とか


まだ寝ていたいとか、ささやかな贅沢を望んだ私に 小粒の雨のバチが当たっただけ。


入れ替えろ!気持ちを投げ捨てて、今日の任務を果たそう。


雨が降ろうが、寒かろうが、たとえ揃えていた材料をブチまかれようが、


耐えろ!


振り返り、じじ様を見る。


じじ様、平然として言う。


「これは  失敗ですな」


そうですね、失敗です。全てあなたが朝3時からしたことです。


無言で冷たい中、寒い中、ただレンガを横にのかしながら スコップでセメントの粉


をすくい上げバケツに入れる作業に集中。


じじ様は 自分が悪いと感じたのか オドオド。


そして言い訳


「俺は なんもわからないのです。病気だから」


「・・・・・」 病気のせいか。


「ほんと、足も悪いし、手もかなわない」


「・・・・」 都合のいい手足だな。


無言、無言、


とりあえず、最後きれいに仕上がれば 私も気分が良いだろう。


なんとかセメント粉を水と混ぜ合わせ(今は配合済みのセメント材に水を入れるだけで


セメントが出来上がるのです、便利)セメントを作り、軽く木枠を設置した。


そして いざセメント投入。


コテでなでると、 まぁ面白いほどきれい。これははまるかも!!


自我流で雑だが わりと可愛いレンガ床 完成。


じじ様 感動の様子。


「わー、さすが 職人さんは違う」


いや、あなたがやりたいと言ったの。それにあなたは親方ではなかったの?


でも ちょっと優越感。


「じじ様がしないといけないのだから、乾いてから目地埋めはやってね」


「いや~、俺には無理。」


断言。


「俺は 病気だから」


はっ?! やる気なしなの?!


足は濡れて冷たいし、手はガチガチに冷たい。


退散。


すると 罰は許されたのか お天気が晴れ晴れになってきた朝の10時。


家に入り 手を洗ったじじ様、 私に濡れた手を差し出す。


拭けって?


甘えるな!!


そして 誘導。


こっちに来て と手を招くじじ様。


「何?」


「真ん中に 俺の大切な物がある。」


「へえ~、何?」


「ばば様も知らない 宝だ


おっ、へそくり?くれるの?


「どこ?」


そこへ ばば様が来た。


じじ様が 渋いやばいような顔をした。


これは 本当に 宝?がある。


ばば様とじじ様の宝物があるという 真ん中の押し入れを開けた。


そこには


じじ様の 宝があった。


    おむつと座布団3枚・・・・宝  です。


欲と期待をしたのが間違いだった。


じじ様にとっては 宝 なのです。


そう・・認知症のじじ様に過度の期待を持ってはいけない。


だが 言い訳はする。


そう感じる1日だった。