ねことのひととき

ねこに癒される日々

外食じじ様   記録24

60歳で脳梗塞を発症。現在77歳認知症発動中のじじ様。わがまま、ストーカー、暴力、挙動
不審に驚きばかりの日々です。


親としての威厳が失われていくのは哀しいものですが、親も人間だと改めて感じ、見つめな


おすことばかりです。親子という近い立場ゆえ苛立ちが爆発したり、ひどい言葉を発して


と後々で後悔することが多い中、考えや気持ち、今まで生きてきた環境、様々な想いを知る


事が出来るような気がします


認知症は治らない病気、将来80歳以上の大半の人が発症すると言われています。


私の父も認知症の診断を受けています。脳の中で何が起こっているかわかりませんが、 何


かをする、行動する、の前に何か理由、原因が必ずあると思っています。じじ様は人間の本


能の心思うまま行動するのです。


外食


外が好きなじじ様。


何の用事もなく、どこに行くわけでもなく、ただ家の前を彷徨っています。


これは何かさせておかないと見張り役が必要になる。


面倒だ。


という事で、玄関横のひび割れたコンクリートを補修してもらう事にした。


なんと、じじ様は脳梗塞を発生する前は 左官工の親方様までになった、つわものだった


のだ。


それも、黄金のバブル時代。


毎晩 飲んで遊んで 贅沢三昧。


うらやましい限りだ。


のおかげで 現在貧乏老人に変身。


ま、お金がなくても 家族がいるだけでも幸せ。・・・だと思う。


・・・と思いたい。


いつもみんなの会話がちんぷんかんぷんで 仲間に入れないじじ様は用事を頼むと


真剣に悩み、何度も聞いてきて一生懸命に用事を果たそうと準備して努力する。


そして、次の日になると何事もなかったように 忘れている。


きっと 若いときは三日坊主という若者だったのだろうと最近感じる事がある。


だが、左官工に関しては違った。


朝まだ暗い内から 現場(玄関横)で真剣な顔で考え込み、足元には倉庫から出してきた


昔の仕事道具が揃えてあった。


あれが必要」


と指示するじじ様。


あれね。


なんかよくわからないが とりあえず私が休みの日 一緒に材料を見に行く約束をした。


朝 仕事に行くたびにじじ様は玄関にいる。


雨が降っても、風が吹いても 朝5時に現場で打合せを待っているじじ様。


「まだ 材料が揃うまで待っていれば?」


隣でばば様が言う。


「それじゃ、いかん(だめだ)」


頭の中はもう職人さんだ。


仕事から帰ってきても 現場(玄関横)をうろつく。


「どうしたいの?」


と聞くと 補修ならず、コンクリート床にレンガブロックを並べたいらしい。


なんか、かわいらしくない?! でもいいかも!!


古い家だし、好きなようにリフォーム?でもしてもらおう。


じじ様 暇そうだし。


休みの日。


ばば様、じじ様、孫 の4人 ビバホームへGO。


今は便利なもので 配合済みの簡易なコンクリート材発見。


水を入れるだけだって。


その他、外壁おしゃれ材が盛りだくさん・・・


ついつい いろんなものをみてしまい、あっという間にお昼。


近くのファミリーレストランでランチ。


じじ様は特盛チーズハンバーグセットをきれいに食べ上げた。


ロボットのウエイトレスに違和感を感じ


帰れ!


と暴言を吐いていたが、ロボットは素知らぬ顔?で退散。


一人、勝ち誇っていたじじ様。


楽しそうだ。


そう言えば、じじ様が認知症を発症してから、周りの人に迷惑をかけるかもしれない


からと、外食をしていなかった・・・


お金がないせいでもあるが。


すまぬ、じじ様。 知らない間に認知症自体を恥かしいと思い込んでいたのかもしれない。


認知症でもじじ様は一人の人間だ。


言葉がわからなくても、忘れても、恥ずかしいことは何もないのだ。


普通に接していこう。


たまには 買い物や外食に連れて行こう。


夜7時。


じじ様ばば様の夕食時間は4時、就寝7時だ。


ばば様は夕食完食済み。


じじ様がなかなか食べないらしく、今日の夕食とんかつがテーブルの上に乗ったままだ。


お昼食べ過ぎたのか、それとも とんかつはちょっとお年寄りにはきつかったのか。


ばば様は片付けられなくて いらいらモード。


「どうしたの?食べたくないの?」


聞くと


「おー、今日は寿司がいいね、お寿司を2人で食べにいこう!」


えっ?


「ばあさん(ばば様の事)は連れて行かん(行かない)。若い者同士で行く」


駄々こねじじ様。


誰が 若い者同士やねん!?


黄金のバブル時代 復活!!


じじ様、謙虚さを持て!


ばば様 あきれ顔。


毎日 節約し、お年寄りが食べやすいもの、おやつ、


退屈しないよう 雑誌や新聞、


トイレの始末や意味不明の会話の相手、


買いたいものも我慢して なるべくじじ様が過ごしやすいよう、


尽くしてきたばば様の気持ち、心から芽生えた愛しみの私の気持ち、


木っ端みじん。。。。


じじ様、認知症発生し、ずさんな扱いをしたことも恥ずかしいからと周りの目に触れないよ


うにした事も 反省する部分が多々あるが、やはり 言いたい。


現実を見ろ!


人の気持ちを考えろ!


空気を読め!


・・・それができないのが認知症の症状、


わかっていながらも 、


これしきのこと、


ふーッと深呼吸。


じじ様の目線に座り、静かに丁寧に命令する。


「今日はもう遅いから ご飯食べて 寝て。


 お寿司は今度ね」


明日には 忘れているだろう。


次の朝。


トイレを済ませたじじ様は 何かの替え歌でお寿司の歌を歌って出てきた・・・