ねことのひととき

ねこに癒される日々

漢方薬・・   記録2

60歳で脳梗塞を発症。現在77歳認知症発動中のじじ様。わがまま、ストーカー、暴力、挙動
不審に驚きばかりの日々です。


親としての威厳が失われていくのは哀しいものですが、親も人間だと改めて感じ、見つめなおすことばかりです。


親子という近い立場ゆえ苛立ちが爆発したり、ひどい言葉を発したりと後々で後悔することが多い中、考えや気持ち、今まで生きてきた環境、様々な想いを知る事が出来るような気がします。


認知症は治らない病気、将来80歳以上の大半の人が発症すると言われています。


私の父も認知症の診断を受けています。
脳の中で何が起こっているかわかりませんが、 何かをする、行動する、の前に何か理由、原因が必ずあると思っています。じじ様は人間の本能の心思うまま行動するのです。



病院の日。



気性の激しさと気持ちのムラが大きいため


脳を活発化させる薬を半分にして、代わりに漢方薬を処方してくれた。


徐々に脳を活性化させる薬を減らしていきましょう。との提案。


「薬を減らすとじじ様はどうなるのでしょう。大丈夫なのでしょうか。」


先生に聞く。


「さあ、どうなるんでしょうね。」


”えっ?


先生、大丈夫なの?答えを下さい。” 心で叫ぶ。


「実際、やってみないとわからないですね。一人一人効果も違いますから。」


。。。はい、たしかに。先生のご意見がごもっともです。



さあ、早速ご飯の後に薬を袋から取り出し皿に置いた。と漢方薬も1袋一緒に準備した。


薬の準備は完璧!


だが漢方薬以外の薬(他に血液を下げる薬など4粒ある)を飲み干すと素知らぬ顔でテレビを見ている。


なんだかな・・・


きっと 飲みたくないんだろうな。


「じじ様 漢方薬水に混ぜる?」


「おっ、うん」じじ様は答える。


コップの中の水に漢方薬を混ぜてみた。


一口目 じじ様は飲んだ。


ちょっと嫌な顔つき。


立ち上がるとコップを持ったままゆっくりと縁側の方へ歩く。


しばらくすると


「まあ、全部捨てたの!?」


ばば様の大きな声が聞こえる


縁側から見える庭にコップから飛び出た水の跡が残っていた。


あっ、まじ?


「すみません、全部捨てました。」


頭を垂れてばば様に謝るじじ様の姿が見える。


・・そこは正直に答えるのね。


嫌な風景だ。親が謝る姿なんて見たくもない。薬ごとき、それも漢方薬ぐらいで。


次の日。


漢方薬のみを袋ごと花壇の土に突き刺す。


また次の日。


漢方薬を溶かしたコップと一緒に庭で日向ぼっこ(コップが3日後に椅子の下から発見)


またまた次の日。


漢方薬をポケットにいれうろうろ。漢方薬がスリッパの中から発見された。


その他、ばば様に”特別プレゼント”と言い漢方薬を渡す、トイレットぺーパーの芯の中で発


見、郵便受けに投入、毎日試行錯誤だ。見つかるたびに 「すみません」


ただこれが毎回続くと、”すみません”は謝る言葉ではなくなる。”完全に飲む気持ちはありま


せん”の同義語だ。


笑いしか出なくなる。


それに漢方薬を見つかるように捨てたからといって誰かに謝る必要はないし、具合が悪かっ


たら自分で飲むでしょう。念のため、主治医の先生に電話で問い合わせてみた。主治医の先


生も まぁ、漢方薬ですから無理やり飲ませなくても大丈夫ですよ、とのお言葉を頂きまし
た。



良かったねじじ様、無理に飲まなくていいんだって。


そう ばば様に伝えた。にも関わらず以前にも増して漢方薬を飲ませようとするばば様の小


さな仕返し攻撃もわからないわけではないが。


後日  子供用の苦い薬に混ぜて飲むゼリーのチョコ味も用意した。確かに子供は飲むかも


しれない。だが漢方薬以前にチョコ味のゼリーが不気味に感じる。


もちろんじじ様は騙されないぞと言わんばかりにチョコ味ゼリーににらみを利かせていた。


それはじじ様の気持ちに賛成だ。