ねことのひととき

ねこに癒される日々

せつない決心。  ・・・記録31 カウント28

60歳で脳梗塞を発症。現在77歳認知症発動中のじじ様。わがまま、ストーカー、暴力、挙動
不審に驚きばかりの日々です。


親としての威厳が失われていくのは哀しいものですが、親も人間だと改めて感じ、見つめな


おすことばかりです。親子という近い立場ゆえ苛立ちが爆発したり、ひどい言葉を発して


と後々で後悔することが多い中、考えや気持ち、今まで生きてきた環境、様々な想いを知る


事が出来るような気がします


認知症は治らない病気、将来80歳以上の大半の人が発症すると言われています。


私の父も認知症の診断を受けています。脳の中で何が起こっているかわかりませんが、 何


かをする、行動する、の前に何か理由、原因が必ずあると思っています。じじ様は人間の本


能の心思うまま行動するのです。


決心・・・・



12月15日 金曜日。


急に寒さがいつもの12月並みになり 外は雪までふってくるしまつ。


家の中もシンシンと底冷え。


おやつを楽しみ、ねこさんと遊び、他の人には一切見えない人と会話をして


穏やかな日々を過ごしていたじじ様。


それは寒さとともに突然だった・・・


夜10時。


ドタンバタ。


じじ様の家の中徘徊の足音や何かを探す音とは違う大きな音が聞こえた。


居間に行くと 腕をつかみ、取っ組み合いをしているじじ様とばば様。


な、なにごと?!


とっさにじじ様とばば様を離した。


「私の方が強いとよ!!」


じじ様に意気込む ばば様。


いや、強いとか弱いとかの問題ではないぞ 。


「どうしたの?」


興奮した人を落ち着かせるためには 思いっきり 何でもないようにゆっくりと


静かに話しかけるのがベストだ。


「わ~~~」


じじ様が大きな声で叫ぶ。


んー、これは困った。


どっちを選ぶか迷うが 、今回の場合じじ様を落ち着かせてから ばば様の意見を聞こう。


じじ様 興奮状態の上、目がうつろ状態。


ゆっくり話しかけて落ち着かせる。


じじ様は手を握りしめ、全体が ワナワナと震えている。


体全体がこわばっている様子だ。


もしかして また  脳梗塞? 脳出血?でも起こしたのでは。


救急車の言葉が頭の中を横切る。


幸い、おとなしくなりソファーに座って独り言を言い出したので ひとまず ほっとする 。


状況がよくわからないが 多分いつものプチ言い合いでもしたのだろう。


だが なんだか 空気が違う。


なんとか気分が落ち着いてから ばば様を尋問。


前向きで何事にも動じない ばば様も


疲れと睡眠不足とストレスで限界なのだろう、不満をたらたらと言い続けている。


根が優しいばば様に1番よく効く言葉、自分を思い出す言葉は


じじ様は病人だよ


本人が一番つらいんだよ


そう言うと


ばば様 静かにうつむく。


そして 


「どこも痛くない?」


とじじ様の手を握り、労わる。


「なにが?」


じじ様は目を点にして言う。


さっきのことは けろりと忘れているようだ。


楽しそうに意味の通じないことを 自分の布団や皿や扉に話しかけている。


じじ様のその独り言は朝の8時までずっと続いた・・・。


その間 ばば様は側に座り、じじ様の通じない言葉にずっと うなづいていた。。。


今日は じじ様ばば様の結婚記念日だ。


何年目だろう・・・




ばば様は じじ様を決して虐待したり 見放したりしない。


その反対に過干渉すぎるくらい じじ様の面倒をみる。


たまに ばば様思い込みのズレもあるが。


ただ、ばば様は人間だ。それも70歳というご高齢な年だ。


認知症になるにはまだまだ若い年だと言うじじ様、77歳でも病院の先生やケアマネージャー


にまだ若いから…と言われるが。


十分に年をとっている、体力も気力も落ちていくだろう。


仲良く老後を過ごすはずが、話し相手にもならない、手のかかるじじ様。


すーっと心が落ちていく感覚。


このままでは ばば様はもちろん じじ様がつらいだろう。


決心しよう。


なるべく早く。


気持ちが揺らぐ前に。


じじ様のかかりつけの病院へ 入院の相談の電話をかけた。


ケアマネージャーさんとも話し合った。


そして ばば様に伝える。


「じじ様を 入院させるから」 と。


「・・・それがいいね」


ばば様は下を向き 静かに答える。


「寂しくなるよ・。大丈夫?」


「そうだろうね。」


ばば様の肩は疲れ切っていた。


病院から入院の件で折り返しの連絡が入った。


 「部屋の空きを確認してからの手続きになりますので


まあ、早くて来月の半ばくらいですかね、空いていればのお話しですが。」


来月・・・


先が決まっていれば 少しは気持ちが軽くなる。


ただ、病室が空いていれば、のはなしだが。