ねことのひととき

ねこに癒される日々

摩訶不思議    記録23

60歳で脳梗塞を発症。現在77歳認知症発動中のじじ様。わがまま、ストーカー、暴力、挙動
不審に驚きばかりの日々です。


親としての威厳が失われていくのは哀しいものですが、親も人間だと改めて感じ、見つめな


おすことばかりです。親子という近い立場ゆえ苛立ちが爆発したり、ひどい言葉を発して


と後々で後悔することが多い中、考えや気持ち、今まで生きてきた環境、様々な想いを知る


事が出来るような気がします


認知症は治らない病気、将来80歳以上の大半の人が発症すると言われています。


私の父も認知症の診断を受けています。脳の中で何が起こっているかわかりませんが、 何


かをする、行動する、の前に何か理由、原因が必ずあると思っています。じじ様は人間の本


能の心思うまま行動するのです。


摩訶不思議


デイサービスが1週間に火・水・木曜日の3日になり、じじ様はなぜか元気になってきていま
す。


始めは職員さんにちょっかいを出して困らせたり、デイサービスに行きたいのに行きたくな


いふりをしたりと ちょっと面倒な性格のじじ様は最近は素直に楽しみを堪能しているよう


でひと安心。


でもひとつまた面倒な事態が・・・


デイサービスのない日、今度は退屈で何か 仕事をしたいと言い出す始末だ。


まだ朝も明けない暗い内から 家の周りをうろうろ、そしてばば様も連れ出す。


ばば様はあきれてしまい、玄関の前で立ち尽くす。


「何してるの?」


聞くと、


「わからん、うろうろして ほんと不審人物だよじじ様は!!」


ばば様は答える。


じじ様が足をびっこ引きながら ようやく玄関で立ち止まる。


突然 ばば様の手を引く。


「どこ行くの じじ様」


ばば様 手に力を入れて引きとめる。


「警察。」


 なぜ?


「お前は 不審人物だ」


 じじ様・・・・・


 もしかして 100mくらい離れていた場所から 私たちの会話が聞こえていたの?


 怖すぎ。


 朝の軽い騒動もお腹がすいたらしく完了。


 おやつの準備中、じじ様椅子に座っていたのだが ばば様を探して廊下をノタノタ歩き出   


 す。 


 「ばば様はトイレよ」


 「はあっ? ばば様は とんだのか?


  いや、私の方が はあっ?なんですけど・・・・


  ばば様は 飛べるの? と聞きたい。


 
  「コーヒー、飲みたい」


 じじ様が珍しくリクエストする。


 ちょうどコーヒーメーカーのコーヒーが沸いた。


 カップにコーヒーを入れる仕草を まじまじとみているじじ様。


 「この黒いのはなんだ?」


 「コーヒー」


 一言返し。


 反対に他に何と言うか教えて欲しい。


 「いや、コーヒーは何と言うか、もっとこうぐんにゃりしていて 色もこれではない


  、もっと もやもやしている。」


 両手でもやもやの輪っかを作る。


 じじ様、 それはきっとコーヒーという代物ではない、と思うぞ。


 もやもやした色とはどんな色だ?


 しかたなく じじ様はカップに入ったコーヒーを飲む。


 「おー、これだ、これだ。これを飲みたかった。」


 だから、言ったじゃん、コーヒーだって。


 「うまいな。。。」


 しみじみと飲むじじ様。


 よかったね。


 
 ばば様 押し入れを片付け中。


 もう1世紀前からある、匂いが染みすぎている服やシーツを一掃整理奮闘。


 リサイクル、メルカリを紹介。


 ばば様 いらないものがお金に代わるとわかると 周りの景色が霞んでいく。


 必死に服をどんどん箱に詰めていき、


 いざ、リサイクルへ!


 ・・・ダンボール3ケース 500円。


 ・・・10円。


 ・・・うちでは扱えません。(つまりごみ)


 帰りの車の中、ばば様は不満を訴える。


 「昔はあの服高かったのに(価格)」


 「3回くらいしか きてないのに」


 「あれは 叔母さんにもらった大切なおさがりだったのに」


 昔ね・・・ たしかに新品で買うのは高いぞ。


 1回着ればもう新品ではないし、たとえ1度も着てなくても 半世以上のものばかりじゃ


 ん。


 それに リサイクルに本人の思い出感情は換算されないと思うよ。。。


 ひとしきり嘆いていたばば様、心入れ替え。


 「あ~、でもうちの押し入れの二階がすっきりして良かった」


 押し入れの二階?!


 うちは平家の 、外からみても中から見ても きれいな1階造り。


 押し入れだけが 単独で2階造りなの?


 「あー、押し入れの2階あるでしょ!」


 と秘密の部屋を暴露するばば様。


 もしかして、それって


 「押し入れの上の段のこと?」


 「そうよ。」


 ばば様は言う。


 あ~、めんどくさい!!!